障害者虐待防止法の概要について

IMG_1354.jpg   「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下「障害者虐待防止法」といいます。)は,平成23年6月17日に成立し,平成24年10月1日から施行されました。

虐待に関する法規制としては,既に児童虐待防止法及び高齢者虐待防止法が存在します。しかし,障害者虐待は,児童や高齢者の虐待と異なり,障害とそれに対する周囲の無理解によって,そもそも障害が顕在化しにくい,あるいは救済が困難であるという特徴があり,障害者に照準を合わせた法体制の整備が急務でした。

障害者虐待防止法は,①障害者の保護だけでなく,②障害者の自立と社会参加の支援や,③養護者の負担軽減も目的としています。

 

そして,障害者虐待防止法における「障害者」は,「身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」(障害者基本法第2条1項)と定義されています。
これは,障害者観について従来の「医学モデル」ではなく「社会モデル」を採用したものであり,障害者手帳等の有無にかかわらない虐待防止を可能にしました。

 

ただし,障害者虐待防止法が具体的防止策を定める「障害者虐待」は,①養護者による障害者虐待(在宅),②障害者福祉施設従事者等による障害者虐待(施設)及び③使用者による障害者虐待(職場)に限定されています。学校,保育所及び医療機関については,それらの機関の長ないし管理者に対して防止等のための措置の実施を義務付けるに留まりました。

 

虐待防止策としては,まず,「何人も,障害者に対し,虐待してはならない。」と虐待防止を高らかに宣言し,通報義務を一律に何人にも課しています。

 

そして,在宅においては,市町村が虐待の通報を受理し,市町村の責任で安全確認と事実確認を行い,虐待の認定と緊急性の判断をし,必要な場合には保護措置をとり,その後,関係機関との個別ケース会議における協議により,虐待対応計画を立て,各関係機関の役割分担の下,必要な支援を行うことになります。
また,施設においては,市町村が通報や本人からの届出を受理し,都道府県に通報するとともに,市町村または都道府県が,障害者自立支援法や各障害者福祉法などの関係法規上の権限を行使して,当該施設の福祉的給付の適正を図ることで,障害者の保護と自立支援を確保します。
さらには,高齢者虐待防止法と異なり,使用者(職場)による虐待防止が規定され,市町村と都道府県及び労働関係行政の対応の責務が設けられました。

 

これは,障害者が,職場において暴力・金銭搾取等の非常に深刻な虐待を受けてきた実態を考慮し,都道府県労働局・労働基準監督署・公共職業安定所の対応責任を明確にしたものです。労働基準監督署等は,立入調査権を含む強力な権限を有しており,これにより障害者虐待防止に向けた積極的な役割を果たすことになります。

 

なお,市町村及び都道府県は,それぞれ障害者虐待対応の窓口等となる「市町村障害者虐待防止センター」及び「都道府県障害者権利擁護センター」として重要な機能を果たすことが期待されています。


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