各国の介護費用支出と規模について

IMG_1354.jpg OECD各国の介護支出(民間支出を含む)の規模(GDP比)と特徴を比較すると,まず,スウェーデンは,介護支出の規模が大きく,公的指向が最も強いことが分かります。  

ただし,スウェーデンの介護支出の規模の大きさは,その人口規模(総人口945.5万人(2011年))も影響していると思われます。人口規模は,行政運営の効率性や給付の手厚さとも密接に関連するからです(この点は,同じ北欧のノルウェーも同様です。)。

 

そして,スウェーデンでは,基礎自治体であるコミューンが介護サービス供給の最終的責任を負っており,公的支出割合の高さを担保しているという点に特徴があります。

 

これに対し,アメリカは,その人口規模(総人口3億700万人(2009年))からすれば,介護支出の規模自体は決して小さいとはいえませんが,他の国々と比べると民間指向が強いことが分かります。介護サービス事業に民間業者が多く参入しており,介護支出に占める民間支出の割合が高いのです。

 

アメリカにも,公的な介護保障に相当する制度として,メディケア(主として高齢者を対象とした公的医療保険)とメディケイド(低所得者を対象とした医療扶助)が存在しますが,保障の対象は限定的です。

 

ドイツは,介護支出の規模でも公的指向でも,スウェーデンとアメリカの中間に位置しています。ドイツの人口規模(総人口8200万人(2008年))からすれば,介護支出の規模自体は小さくありません。

 

ドイツでは介護保険制度による保障が中心となっていますが(公費投入は行われず社会保険料によって支えられている点に特徴があります。),他方で,介護保険制度導入後,介護サービス事業に営利法人が参入するようになり,次第に民間指向も強まっています。

 

上記の各国と比べると,我が日本は,公的指向が相対的に強く,そのうえ支出の規模が小さいことが分かります。ただし,日本でも介護保険制度の普及により介護支出の規模が次第に大きくなっています。

 

また,近年,日本でも介護サービス事業に多数の民間事業者が参入しており,民間指向も強まっています(加えて,統計数値に表れない要素として,同居率が高い日本では家族が無償で多くの介護負担を担っている状況を忘れてはならないでしょう。)。 

 

日本では急速に高齢化が進んでおり,今後も介護支出の規模は確実に大きくなると予想されます。他方で,日本は,上記の各国と比べて税・社会保険料の徴収規模が小さいため,公的支出の増加には限界があり(現在は国債で賄っている状態です。),今後はより民間指向が強まると思います。



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