施設内虐待防止のポイント

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施設内障害者虐待防止研修
施設内虐待防止のポイント

 

       平成26年9月25日

       いたむら法律事務所

    弁護士・社会福祉士 板 村 憲 作

     
     

袖ケ浦福祉センター養育園

千葉県袖ケ浦市にある県立障害者支援施設(社会福祉法人・千葉県社会福祉事業団) 「袖ケ浦福祉センター養育園」
2013年,入所していた知的障害のある19歳の少年が施設の男性職員(24)から暴行を受けて急死。 
 
被害少年は11月24日,ソファで横になっていたところを,男性職員の1人に腹を複数回蹴られた。
翌25日,少年は歯磨き中に倒れ,搬送先の病院で26日に死亡。死因は腸に穴が開いたことによる腹膜炎だった。
 
千葉県の調査では,亡くなった少年を含む11歳から26歳までの入所者10人が,合計5人の男性職員から暴行を繰り返し受けていた。
 
※その後の調査で,平成16~25年度に同センターの職員15人が入所者23人に暴行や心理的,性的虐待をしていたことが判明。このうち事件が起きた養育園第2寮の入所者は10人で,虐待が集中していた。
 
県の調査に対し,男性職員は「思うように動いてくれず,イライラしてやった。」と話した。
5人は同じ寮の担当者で,お互いの行為を知っていた。警察に対して「言うことを聞いてくれず,イラッとして蹴ってしまい,同僚に止められ我に返った。今年の夏頃から叩いたりしていた」と話した。
 
千葉県警は,他の入所者にも虐待していたなどとして傷害や暴行の疑いで,男性職員(少年への傷害致死罪で逮捕・起訴)ら9人を書類送検。
 
第三者検証委員会の中間報告は,同寮は症状の重い行動障害の児童らが入所していたが「支援に行き詰まり,行動障害を抑えるために暴行に至った面はある。だが,だんだんとその方が楽だと思い,適切な支援ではなく安易に暴行を繰り返していた」と言及。
 
同寮に配置された職員数が少なかったことも問題点として挙げ,佐藤座長は「入所者が外部に虐待を伝えられないため,『苦情がない』と判断され,経験の浅い人材が配置された」と指摘。
 
最終報告では,職員が虐待防止の研修を十分に受けておらず,組織として虐待を防ぐ体制が機能不全に陥っていた事業団の体質を指摘した3月の中間報告を踏まえ,同センターの設置者である県の指導監督責任や,センターのあり方を検討。
県職員へのヒアリングなどの結果,14~24年度に計3回,虐待が疑われる事案や匿名の内部告発があったが,処分の公表や十分な対応をしていなかったことが分かった。
 

障害者虐待防止法の目的

障害者に対する虐待の禁止
虐待の予防や早期発見等に関する国や地方公共団体の責務
障害者の保護及び自立の支援
養護者に対する支援 
 
   障害者の権利擁護 
(第1条)
 

障害者虐待防止法の役割とは?

主体は?
1養護者による虐待
2障害者福祉施設従事者等による虐待
3使用者による虐待
(第2条Ⅱ) 
 

障害者とは?

身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの(障害者基本法2Ⅰ)
障害者手帳を持ってない場合は?
(第2条)

 

従事者の通報義務とは?

虐待を受けたと思われる障害者を発見した者
市町村に通報する義務あり
守秘義務は免除(虚偽・過失の場合は除く)
通報による解雇や不利益取扱いの禁止
(第17条)

 

施設側の責務は?

従事者への研修の実施
本人や家族からの苦情処理の体制整備
その他虐待防止のための措置
(第15条)

 

虐待(と思われる)とは?

身体的虐待     
性的虐待
心理的虐待    
世話の放棄・放任 
経済的虐待
(第2条Ⅶ)
 

身体拘束は虐待か?

車いすやベッドなどに縛り付ける。
ミトン型の手袋やつなぎ服を着させる。
支援者が自分の体で利用者を押さえ付ける。
落ち着かせるため向精神薬を過剰に服用させる。
自分の意思で開けられない居室等に隔離する。
(厚労省マニュアルより)

 

虐待と正当な身体拘束

「正当な理由」の判断基準

1        性
2        性
3        性
(身体拘束ゼロへの手引きより)

 

性的虐待の例

排泄や着替えの介助のために下半身を裸にしたり,下着のまま放置する。
排泄の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置する。
人前で排泄行為をさせる,おむつを交換する
性器を写真に撮る,スケッチする。
キス,性器への接触,性行為を強要する。
わいせつな映像や写真を見せる。
(厚労省マニュアルより)

 

同意のある性的行為は要注意

刑法第178条
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,わいせつな行為をした者は,第176条(※強制わいせつ罪)の例による。
女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,姦淫した者は,前条(※強姦罪)の例による。
 

不当な差別的言動の例

「そんなことすると外出させない」など言葉により脅迫したり,特性に配慮せず「何度言ったら分かるの」などと叱責する。
(配慮なく)本人をあだ名で呼んだり,「◯◯ちゃん」など子ども扱いする態度をとる。
本人の言動(排泄の失敗,食べこぼしなど)を嘲笑したり,「こんな簡単なこともできないのか」などと人前で話すなど,本人に恥をかかせる。
(厚労省マニュアルより)

 

経済的虐待の例

本人の同意を得ないで,あるいは理解できないことに乗じて,年金・貯金等の流用など財産の不当な処分をした。
施設で金銭を管理し,日常生活に必要な金銭や本人が使いたいことに渡さず,使わせなかった。
入所施設において農作業を行わせながら賃金を支払わずに労働力を搾取した。
(厚労省マニュアルより)

 

横浜グループホーム事件

2012年,NPO法人の元副理事長(60)が業務上横領の疑いで逮捕・起訴。
元副理事長は,横浜市内のグループホーム管理者として入所者の金銭管理をしていた2005年4月~11年8月,入所者ら4人の口座やNPO法人の口座から預金や介護給付費計約525万円を着服。
 
裁判官は「障害者の支援を行うべき立場にありながら,利用者の資産に手をつけた点で悪質」と述べ,懲役3年(求刑・懲役4年)を言い渡した。
着服した金は法人の運営費などに流用され,裁判官は判決で「被告が障害者福祉に情熱を燃やしていたことは否定しないが,被告のずさんな運営が資金繰りに窮した原因」と指摘した。
 
市や県の監査では利用者の預金通帳の内容まで調査できなかった。
市長申立て等により,各利用者に成年後見人(弁護士)が就任して調査を行った。
その結果,利用者数人の通帳から数千万の金額が引き出されていたことが判明したため,成年後見人が刑事告発した。
 

ケース・スタディ①

知的障害者施設で生活しているAさんは,施設の「午後6時就寝」という日課を徹底するため,毎日の夕食時に睡眠薬,抗てんかん薬,精神安定剤を大量に投与されていた。
ほとんどが医師の処方を受けずに量を増やされたもので,Aさんは無気力になり,よだれを垂らし続けていた。

 

ケース・スタディ②

知的障害者施設で生活しているBさんの母親は,施設長から「年金をもらった人が寄付することは前から(保護者)総会で決まっている。」と言われ,Bさん名義の通帳と印鑑を施設長に渡した。
母親は,他の寄付の記録を見せられ,Bさんの退所期限が迫っていることをちらつかされ,断ることができなかった。

 

ケース・スタディ③

知的障害者施設で生活しているCさんは,他の特定の利用者から繰り返し暴行を受け,何度も負傷した。
施設の職員は,多忙とCさんが暴行を受けている場面を直接目撃していないことを理由に,何の対応もしなかった。
 

最後に・・・施設内虐待防止のポイント

早期発見・早期対応の体制作り
プロセスを重視する
記録を残す
 

講演実績


セミナー・講演分野一覧

【交通事故】 【離婚】
【相続】 【福祉・成年後見】
【不動産】 【その他】

 ※リンクから各講座のテキストをご確認いただけます。

 ご参考になれば幸いです。



【交通事故】

H27. 4.22 認知症高齢者による交通事故の予防と法的責任 【担当:板村弁護士】
H26. 8. 8 交通事故研修-主婦休損と過失割合について 【担当:板村弁護士・藤村弁護士
H26. 7.29 交通事故研修-過失割合について 【担当:藤村弁護士】
H25. 9.10 第1回交通事故研修会 ~第1部 「交通事故と損調専門職」~【担当:板村弁護士・藤村弁護士】


【離婚】

H26. 2. 8 DV防止研修会パネリスト


【相続】
H29. 2.25 遺言書作成支援に関する留意点~遺言者に寄り添った遺言書作成に関する弁護士の意見~
      【担当:藤村弁護士】
H28. 2.27 遺産分割協議をスムーズに行う方法~遺産分割調停等の現場から観た弁護士の意見~
      【担当:藤村弁護士】
H27. 5.14 消費生活講座「よくわかる遺言」~遺心伝心~ 【担当:藤村弁護士】
H26. 6.21 賃貸住宅セミナー よくある相続トラブルとその予防法 【担当:板村弁護士】
H26. 5.16 相続と資産防衛 今,知っておきたい実践セミナー  【担当:板村弁護士】 
H26. 2.11 相続対策と確定申告・節税セミナー 【担当:板村弁護士】
H25. 5.12 消費生活講座よくわかる相続・遺言・後見


【福祉・成年後見】

H28.10.27 防府緩和医療懇話会「裁判例からみる在宅介護のリスクマネージメント」 【担当:水野弁護士】
H28. 8.23 防府ケアマネ協会研修「神戸玄関チェーン事件で考える徘徊事故のリスクマネジメント」 
      【担当:板村弁護士】
H28. 2.14 第32回華城地区社会福祉大会「老後を賢く安全に暮らすために」 【担当:板村弁護士】
H27. 7.20 ソーシャルワーカーデー「なぜ社会福祉士を取得したのか~弁護士と社会福祉士の視点の違いから~」
      【担当:板村弁護士】
H27. 1.22 介護サービスにおけるリスクマネジメント 【担当:板村弁護士】
H26.12. 5 労働者健康福祉機構の未払賃金立替払制度に関する研修会 パネリスト 【担当:藤村弁護士】
H26.10.25 介護保険サービスにおけるリスクマネジメント 【担当:板村弁護士
H26. 9. 25 施設内障害者虐待防止研修 【担当:板村弁護士
H26. 8. 4 未成年後見制度について 【担当:板村弁護士
H26. 6.11 成年後見と医療同意について  【担当:板村弁護士】
H26. 4.24 消費生活講座 よくわかる成年後見制度  【担当:板村弁護士】
H26. 4.19 介護支援専門員のリスクマネジメントセミナー  【担当:板村弁護士】
H25. 3.24 虐待防止と権利擁護を語る
H25. 2.10 「認知症疾患医療センター研修会」
H24.11.14 「H24.11.15 高齢者・障害者の権利擁護に関する弁護士会の取組みパネリスト」
H24.11. 4 第2回山口芸術短期大学キャリアアップ事業 『施設現場における虐待を考える』
H24.10. 2 平成24年度 法人成年後見研修会講師
H24. 3.27 山口県障害者虐待防止・権利擁護研修会講師(障害者虐待防止法)
H24. 3. 2  高齢者虐待対応関係者研修会講師(高齢者虐待防止法)
H23. 9.15 成年後見講義講師(山口県立佐波高等学校)
H22.11.16 成年後見活用講座講師(高齢者虐待防止法)


【不動産】
H29. 7. 8 プロが教える立退き交渉術~最近の裁判例から見る「正当事由」の感覚~【担当:板村弁護士,藤村弁護士】
H26. 4. 5 入居者とのトラブルを防ぐ法律知識セミナー   【担当:板村弁護士】
H26. 1.18 プロが教える立退き交渉術(H26.1.18) 【担当:板村弁護士】
H25.12. 8 ほっぷ主催 不動産オーナー向け資産活用セミナー 【担当:板村弁護士】
H25. 3.12 山口県土地家屋調査士会防府支部研修会


【その他】
H29. 7.19 主権者教育講演(下関工業高校) 【担当:藤村弁護士】
H29. 6.22 主権者教育講演(厚狭高校) 【担当:藤村弁護士】
H29. 3.14 主権者教育講演(萩光塩高校) 【担当:藤村弁護士】
H28.12.14 主権者教育講演(萩商工高校) 【担当:藤村弁護士】
H27.10.16 弁護士が語る、消費者トラブル 【担当:藤村弁護士】
H27.11.11 マイナンバー研修「マイナンバー漏洩の法的責任と対策」 【担当:板村弁護士】
H26.12. 4  不当要求防止責任者講習  【担当:板村弁護士
H26.11. 7 第81回民暴山口大会第23回山口県暴力追放県民大会 【担当:板村弁護士
H26. 8. 9 山口県行政書士会業務研修会-ペットに関する紛争の解決方法 【担当:藤村弁護士】
H26. 2.10 消費者教育講座~さあ,お金の話をしようか~ 【担当:藤村弁護士】
H26. 2. 1 山口県弁護士会 新人実務研修 【担当:板村弁護士】
H25.12.10 2013年度国土交通省山口河川国道事務所法律相談研修会講師
H25.11.16 山口県行政書士会 法的知識研修会 【担当:藤村弁護士】
H25.11.14 不当要求防止責任者講習
H25. 9.26 やまぐち消費者大学「情報通信サービスに関する相談と法律」【担当:藤村弁護士】
H25. 9.21 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 (再改訂版)の解説【担当:藤村弁護士】
H25. 4 .4 利益を守る契約書の作り方
H25. 2.23 山口県行政書士会法的知識研修
H24.11. 1 第21回山口県暴力追放県民大会
             大会の様子が山口新聞に取り上げられました。
H24. 9. 5  山口県証券警察連絡協議会講師
H24. 7.27 2012年度国土交通省山口河川国道事務所法律相談研修会講師
H24. 7.12 不当要求防止責任者講習講師
H23.11.16 企業防衛対策協議会講演講師(暴排条例について)
H23. 8. 9  不当要求防止責任者講習講師
H23. 8. 3  司法修習生及び若手会員対象選択型修習講師(高齢者虐待防止法)
H23. 2.15 平成22年度高等学校消費者教育講師(小野田工業高等学校)
H22. 9. 8  司法修習生及び若手会員対象選択型修習講師(高齢者虐待防止法)
H22. 7.27 山口県警 司法改革制度講演講師(裁判員裁判について)
H22. 6.14 不当要求防止責任者講習講師
H22. 3. 8  消費生活相談員養成講座講師(特定商取引法)
H21.11.26 消費生活相談員養成講座講師(特定商取引法)

福祉分野・成年後見に関しては、下記のページもあわせてご覧ください。

成年後見制度とは 後見人の選び方 任意後見契約
成年後見制度の活用事例 社会福祉コラム                  



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